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2016.12.15

ドライアイ

涙は「角膜に栄養や酸素を届ける」「乾燥防止」「瞳をきれいなレンズに保つ」「殺菌」など目にとって非常に重要な役割を担っています。この大切な涙をまばたきがワイパーのように瞳全体に行き渡らせるのです。
ドライアイとは目を守るために必要な涙が不足したり、涙の質のバランスが崩れることによって、瞳の表面に十分な涙が行き渡らなくなり炎症を起こす病気です。涙ののりや行きわたりが悪い部分はドライスポットと呼ばれます。ドライアイの程度によっては角膜表面がデコボコになり視力障害を起こす事もあります。
ドライアイの原因は「パソコン類の使用」「乾燥した部屋、エアコンなど」「レーシックなどの屈折矯正手術後」「コンタクトレンズの使用」「加齢」「不規則な生活」など様々です。

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↑黒く見える所は涙ののりが悪いドライスポット

今では仕事や日常生活に欠かせないパソコンやスマートフォン。これらの作業に伴い起こる症状を「VDT症候群」と言います。このパソコンやスマートフォンなど一般的に近いといわれる距離(35cm)を見る時、まばたきの回数が半分以下に激減します。まばたきをしない間、角膜の表面はどんどん乾燥してゆきます。室内であればエアコンの風が加わり、より乾燥しやすくなります。コンタクトレンズを使用している人は更に過酷な状態になります。このような悪循環が近年の生活環境では当たり前になっているのです。
まぶたの裏にある、涙に油分を供給する器官「マイボーム腺」。ここが汚れなどによって塞がってしまい涙の質のバランスが崩れます。油分が減少すると涙が蒸発しやすくなり、涙の量は十分なのに乾燥するといった症状が起こります。女性ではメイクがまぶたの裏に付着する事例が多く見られます。対策としては普段からしっかりと洗浄し、清潔に保っておく事です。
夜更かしなどによっても涙の質のバランスが崩れる事がありますので生活習慣の改善が必要な場合もあります。
レーシックなどの手術ではレーザーを当てた後に角膜をかぶせるため、フラップ上にカットしますが、この時に乾燥をキャッチする角膜の知覚神経がカットされてしまうため角膜が乾燥しても涙を出す指示が出なくなってしまうのです。知覚神経が回復するまで1年ほどかかりますが、元通りに回復しない場合があるため注意が必要です。

コンタクトレンズの使用者はソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズに分かれます。
まず、ソフトコンタクトレンズ(特にカラーコンタクトレンズ)の方が重症化しやすい傾向があります。ソフトコンタクトレンズは素材が水分を含んでいるため、乾燥してくると涙を吸収し潤いを維持しようとします。吸収する涙が不足するとレンズは乾燥し縮んで硬くなるため、異物感や張り付きを感じやすくなり、広い範囲で角膜を傷付ける事があります。また、レンズが黒目よりも大きいため、レンズが乾燥すると角膜は酸欠になり、角膜に酸素や栄養分を届ける事が困難になり、これを補うように黒目に血管が伸びてきます。これを「角膜血管新生」と言いますが、進行すると角膜が白濁し重度になると視覚障害や失明の危険性があります。他にも、酸欠状態で代謝が悪くなると角膜に水分が溜まり、角膜がむくみ「角膜浮腫」という状態になり、激しい痛み・視力障害や眩しさを伴います。多くが「角膜上皮剥離」を発症します。
ハードコンタクトレンズは水分を含んでいないため涙を吸収することはありません。通常はレンズが涙のクッションの上を滑っているような状態です。しかし、コンタクトレンズはあくまでも異物であるため、適切な処方がなされていないと異物感が強くなったり、涙の循環がうまくできないなどトラブルの原因となります。これは経験が豊富で信頼のおける眼科専門医の処方を受けると改善します。
眼が乾燥するからといって目薬を多用する事も注意が必要です。目薬に含まれている成分によって中毒症状が起こり眼を傷付ける原因となることがあります。

乾燥する環境では眼鏡に切り替えるなどの対策が有効ですが、眼の状態を正確に判断するためには自己判断は避け、眼科専門医による適切な処置を受けるようにしましょう。

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↑結膜(白目)と角膜に炎症が見られる

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↑角膜が剥離を起こした状態。

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↑血管が角膜に侵入している状態。

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