眼精疲労とは
眼精疲労とは、眼の痛み・疲れ・かすみ・まぶしい・充血などの症状や、頭痛・肩こり・吐き気などの全身症状が現れ、休息や睡眠をとっても十分に回復しない状態をいいます。
休憩や睡眠によって回復する目の疲れ「眼疲労」と区別しています。眼精疲労は、何らかの手を打たなければ、仕事や環境が変わるといった生活の変化がない限り、自然には治りません。不快な症状がいつまでも続き、その症状がさらに状態を悪化させることもあります。さらに、背後に目やからだの病気が隠れている可能性も考えられます。
携帯電話やパソコンなど、目を酷使していませんか?暗い場所でテレビをみたり、電車やバスの中など揺れる状態で読書をしていませんか?コンタクトレンズを何時間くらい装用していますか?
これらが長時間続くと、目に負担を感じます。「ただの目の疲れ」などと軽く考えず、なるべく早く受診し、対策を立てましょう。
眼精疲労の症状
「目が疲れる」「目が痛い」「重い感じがする」といったことは日常で誰もがよく経験しますが、ほとんどの場合はしばらくすると忘れてしまいます。
しかし、症状が頑固に続いたり、体に悪影響を及ぼすこともあります。メガネやコンタクトレンズを使用せずに遠くが見えるような目が良い人ほど症状を感じます。
何らかの対策を取らなければ、仕事や環境が変わるといった生活の変化がない限り自然には治りません。
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眼の症状
- 眼が疲れる、重い感じがする
- ぼやけたりかすんで見える
- 眼が痛い、充血する
- まぶしく感じる など
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体の症状
- 肩こり
- 頭痛
- 吐き気
- めまい
- 倦怠感 など
眼精疲労の原因
眼精疲労 眼精疲労の原因は、さまざまなことが考えられます。
検査を進めていく中で原因を探っていきますが、原因を特定することが難しい場合も多いです。
眼精疲労の原因は、大きく4つに分けて考えられています。
- 眼になにか病気が起きている場合
- 体の病気が眼に現れている場合
- 視環境による場合
- 精神的なストレスによる場合
です。ただし、実際には原因がいくつか重なり、眼の負担が増え眼精疲労になります。
原因と思われる病気を治療したのに眼精疲労が治らないことも少なくありません。
眼精疲労の治療は原因を一つひとつ治療・解決していきます。
眼になにか病気が起きている場合
眼精疲労を訴える患者さんには、次のような病気や異常が見つかることが多いです。
ドライアイ
ドライアイは目を守る役割をする涙の量が足りなくなったり、涙の性質のバランスが崩れたりすることで目の表面に障害(傷)が生じる目の病気です。目がゴロゴロする、目が重い、目がショボショボする、目が開き辛いなどのほか、充血、目やにが出る、午後になると目がかすむ、視力はいいのになんとなく見辛いなど、さまざまな症状がでます。VDT症候群など、目を酷使する人がなりやすく、しばしば眼精疲労を伴います。
白内障やその手術の影響
白内障は水晶体が濁る病気です。そのため視力が低下したりまぶしさを感じて、眼精疲労の原因となることがあります。
白内障は手術で治せますが、手術後に少し見え方が変わるため、それが眼精疲労の原因となることもあります。
緑内障
緑内障は何らかの原因で視神経が障害され視野(見える範囲)が狭くなる病気で、眼圧の上昇がその病因の一つと言われていますが、最近は眼圧が正常範囲にもかかわらず、視神経の萎縮を起こしてくる正常眼圧緑内障が非常に多いことが分かっております。日本人に最も多い緑内障がこのタイプです。
緑内障をきちんと診断するためには、眼底検査のほか眼圧測定、隅角検査、視野検査などの検査をしなければなりません。緑内障はしっかり治療せずにいると失明することもあります。
眼圧が高いときに頭痛が起きたり、時々モヤがかかったように見え眼精疲労と感じることもあります。
眼瞼下垂
まぶたが垂れ下がってくる病気です。視野の上のほうが見えなくなるので、物を見るときに頭を後ろへ反らすなどしなければならず、眼精疲労の原因になります。
体の病気が眼に現れている場合
風邪やインフルエンザ、更年期障害、自律神経失調症、虫歯や歯周病、耳や鼻の病気などで眼精疲労になることが多く、その他にも高血圧、低血圧、糖尿病、貧血、月経異常などでも眼精疲労が起こることがあります。
視環境による場合
目は使えば使うほど疲れます。社会の情報化が加速度的に進み、目を使う環境‘視環境’はますます過酷になるばかりです。パソコン作業の急増。携帯電話、電子メール、TVゲームなども浸透し、これらの画像情報端末がないと、社会が成り立たなくなりつつあります。シックハウス症候群(住居の建材に含まれる化学物質などの影響による体調不良)やVDT症候群の眼精疲労の関係も指摘されています。その他、 メガネやコンタクトレンズが眼に合っていないために眼精疲労が起きることも少なくありません。メガネやコンタクトレンズは、検査を受けて自分に合ったものを処方してもらいましょう。
また、気をつけなければならないのが年齢とともに近くの物が見えにくくなる老視(老眼)。視力がよい人は遠くが良く見えるから問題ないと考えてしまいますが、近見作業中に遠くを見る時や、遠くから近くに目を移した時にピントが合いにくくなりそのまま無理を重ねると眼精疲労へと繋がります。
精神的なストレスによる場合 職場での不適合、心身症、神経症なども眼精疲労の一因となります。
精神的なストレスが強くなると、不安感が異常に強まり「イライラして落ち着かない」「眠れない」といった精神的なことに現れる一方で、からだに対しても、高血圧、血行不良、胃潰瘍といった多様な病気を引き起こします。その一つとして、眼精疲労が起こることがあります。
眼精疲労の対策
日常の生活や仕事の中においても、自分自身でできる対策があります。
しかし、眼精疲労により生活や仕事に支障が出てくるような場合は、きちんとした治療、管理が必要になります。放置しておくと眼だけでなく全身に影響が及びます。精神的にイライラするなど、心の部分にも関わってきので、なるべく早く診察を受け、対策を立てましょう。
眼精疲労の3つのポイント
眼精疲労を訴える患者さんには、次のような病気や異常が見つかることが多いです。
1病気が隠れていないかチェックする
まずは眼精疲労の背後になにか病気が隠れていないかチェックすることです。
視力、視野、眼圧、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査などの眼科一般検査で異常が無いか確認し、病気がみつかった場合には、その治療をします。
眼精疲労に特効薬はありませんが、アスタキサンチンやビタミンA、ビタミンB群を点眼薬やサプリメントで効果的に摂取すると有効な場合があります。
2視環境をチェックする
室内の照明の明るさや姿勢をチェックしてみましょう。パソコンを使うのであればパソコンの位置などもチェックしましょう。
室内が乾燥したり空調の風が目にあたるとドライアイを引き起こします。その他にも周囲のたばこの煙が原因となることがあります。これらについては職場に相談して調整してもらいましょう。
適度な休息を取りながら行うことや睡眠を十分にとることも大事です。寝不足のときには、眼を使う時間が長くなり休める時間が減りますので、眼が疲れて当然です。
- 照明は暗すぎず、明るすぎないように調整する
- パソコン画面は適度な明るさとコントラストに調整する
- イスに深く座り背筋を伸ばす
- パソコン作業中はこまめに休憩をとり、眼を休める
- 空調の風が直接眼に当たらないよう工夫する
3ストレス発散をする
趣味や散歩、スポーツなどで、ストレスを発散しましょう。パソコン作業中などはこまめに休憩をとり、軽い体操をしてみてください。
ストレスがいくつも重なったり長期間続くと、ストレスを解消しようとする意欲までなくなることもあります。そんなときは医師に相談し、治療やアドバイスを受けてください。